マンション・ビルの総合管理を行う大和ライフネクスト株式会社では、同社管理のマンションに住まわれるお客様からの緊急連絡に対応するため、24時間365日稼働のお客様サービス室を備えている。同社では更なるサービス向上を目指して業務改善を図るため、社内情報共有サービス『ナレッジリング』を導入。現在ではカスタマイズを重ねて『ガリレオ』という同社のオリジナル名称に変え独自の進化を遂げている。『ナレッジリング』の導入経緯や導入後の効果などについて、導入当時、お客様サービス室の室長であった岸本氏にお話を伺った。
※大和ライフネクスト株式会社では、カスタマイズした社内情報共有サービス『ナレッジリング』を『ガリレオ』という愛称に変更してご利用頂いており、同社社員に親しまれています。
大和ライフネクスト株式会社 クオリティサポートセンターお客様サービス室 室長 岸本 雅之 氏
※所属・役職等は2012年2月当時のものです。
主には、お客様から緊急で寄せられる様々なトラブルに対応するための窓口として機能しています。将来的には、トラブル対応だけでなく、全社で行っているサービスを一本化して更なるサービスの拡充を目指したいと考えています。
お客様サービス室だけではなく、「もっとお客様に満足頂けるサービスを」との思いから、全社的にはこれまでに業務改善プロジェクトをいくつか発足させてきました。そんな中、数年前に『情報統合プロジェクト』がスタートしましたが、これは社内の様々な情報を合理的に集約し効率よく活用しようという取組みです。私は、このプロジェクトのプロジェクトマネージャーを務めており、運営メンバーは、情報活用への取り組みに意欲的な人間や情報システム部門の人間で構成されています。社内情報を集約しそれを活かしていくためには、全社を上げての協力体制とシステム側からのアプローチが重要になります。その中で導入検討に上がったのが、御社の社内情報共有サービス『ナレッジリング』でした。
システムを導入しても、使われなければ意味がない。その点、『ナレッジリング』は検索性に優れており、複雑な操作をしなくても直観的にユーザに利用してもらえると感じました。とにかく目的の情報への到達率が高い。どこにアップしたか忘れてしまったファイルでも簡単に見つけられる。情報検索性の高さが一番の理由です。
全体的に、ユーザインタフェースは非常にシンプルで分かりやすい。コミュニティ機能もいいですね。Yahoo!知恵袋に代表されるナレッジコミュニティのような、日頃慣れ親しんでいるツールに近いものがあるのでイメージがわきやすかったです。最終的には、カスタマイズできるという融通さもあり御社のサービスに決めました。
1年半くらいでしょうか。
とにかく、社内の各方面に、ナレッジマネジメントの重要性とそれを『ナレッジリング』で実現できることを徹底してアピールしていきました。これまでは、部署横断的に情報を活用する習慣が無かったんですよ。ですので、まずは直接的な利用者である各拠点のマネージャーやリーダーを中心に丁寧に説明していきました。その後は、いかにして取締役会をクリアするかにも苦労しましたね。『ナレッジリング』のデモサイトを利用し、取締役の皆さんには実際に使ってもらってその良さを確かめてもらいました。取締役会の承認が下りて導入が確定した後も、全国にある拠点全てで勉強会を開催するなど、社内周知には力を入れました。講師役は御社に務めて頂いたので、私たち運営側はそれ以外のことに集中することができました。
『ナレッジリング』を全社的に浸透させるため、各拠点に推進役を設けました。推進役は、拠点リーダー+実際のマンションの管理担当者2名一組となるよう任命しました。私たちは彼らを“親衛隊”って呼んでますが(笑)。使ってもらうためにはファンになってもらわないといけないですからね。そこから布教活動を始めたわけです(笑)。『ナレッジリング』で情報を活用していくにあたっては、“お客様視点”ということをコンセプトにしました。例えば、「こういう提案をしたら管理組合の合意形成が容易に出来た」とかね。そういう良い事例をどんどん蓄積していきましょうと。これまでは、それこそ社内の連絡事項なども含めて、何でもかんでもデータベースに登録してあったのですが、この機会に明確にセグメントすることにしました。
利用頻度は高いという印象です。直近では、ログイン回数は毎月約3,000回(1日約400回)。検索件数は毎月約4,300件(1日約200件)という集計結果が出ています。
やはり情報が命なので、いかに情報を枯らさず湧き出ている状態を保ち続けられるかが鍵だと思っています。そこで、『情報提供促進キャンペーン』と銘打ったキャンペーンを始めました。インセンティブを与えて、たくさん投稿してくれた部署や個人を表彰しようというものです。今はまだこのような強制力がないと自発的な行動に結びつきにくいですが、キャンペーンをきっかけに「こんな情報でも見てくれる人がいるんだ」などの気付きがあれば、自然にアクションに繋がっていくと思うんですよね。情報量がある程度蓄積されたらその後は淘汰されていくはずなので、そうなれば情報の鮮度も保てるんじゃないかと考えています。
他に利用促進の試みとしては、『ガリレオ(ナレッジリング)マガジン』という広報誌の発行を始めました。例えば、検索人気キーワードを紹介したり、記事の投稿数やコミュニティの質問・回答数のランキングを発表したり。先ほどのキャンペーンも、この広報誌で告知しました。
やはり検索性が非常に優れていることで、思いも寄らないところで欲しかった情報が見つかった、ということも多いですね。コミュニティに関しては、若手中心に利用している傾向が見られます。まだまだ少ないですが、世話焼きの人が「こんな情報あるよ!」とか「それはこっちを見れば良いんじゃない?」とか、土壌は出来始めているので、これをもっと伸ばしていきたいですね。
私は、『ナレッジリング』は、弊社のナレッジマネジメントにおける一つのきっかけと捉えています。5年後や10年後、情報資産として『ナレッジリング』がなくてはならない存在になっていて、逆に言えば『ナレッジリング』さえあればなんとかなる、というところまで持っていきたいですね。例えば、北関東支社と横浜支社の担当者同士はこれまでそれほど繋がりはなかったけど、『ナレッジリング』のコミュニティを通して、顔は知らなくても「この資料使ってみてよ」というようなやりとりがもっともっと増えるといいなと。そうすると、今までは個人が持っている“いいモノ”は個人止まりだったけど、全体で情報共有出来るようになるとお客様に対しても質の高いサービスを提供する機会が増えるわけですよね。そういう文化が将来的に根付いていることが理想ですね。
イメージはあるもののシステム的にどう実現させたらいいのか、という部分については上手く具現化して頂いたと感じています。プロジェクトが進行していくにつれて次第に要望も膨らんでいきましたが、様々な選択肢を用意して頂いたりして非常にやり易かったです。大変お世話になりました。